台風が接近するとわかった瞬間、あなたはまず何をしますか?「とりあえずスーパーに行こう」「養生テープを買わなきゃ」——そんなふうに頭の中がバラバラになってしまう人は、決して少なくありません。台風接近時に何時間前に何をするかを事前に整理しておかないと、肝心な場面で思考が止まってしまいます。
この記事では、台風接近から通過後まで、やるべきことを「24時間前」「12時間前」「3時間前」「上陸・通過後」の4つのフェーズに分けて、時系列でまるごと整理します。台風シーズン前でも、すでに台風が近づいている状況でも、この記事を一度読んでおけば「いざというとき考えなくても動ける」状態になれます。
ぜひ最後まで読んで、ブックマークしておいてください。
なぜ台風対策は「直前になってから」では間に合わないのか
毎年台風シーズンになると、同じ光景が繰り返されます。スーパーの水のコーナーが空になり、ホームセンターの養生テープが売り切れ、レジには長蛇の列。SNSには「〇〇が手に入らない」という投稿があふれる。
なぜこういうことが毎年起きるのでしょうか。原因はシンプルです。「台風が来てから考え始めるから」です。
人は緊張や焦りを感じると、脳の判断機能が著しく低下します。心理学では「認知的過負荷」と呼ばれる状態で、やるべきことが多いほど、かえって何もできなくなる現象が起きます。「まず何から手をつければいい?」「あれも必要だ、これも必要だ」と頭が混乱し、気づけば時間だけが過ぎていく——こうして「気づいたときにはもう手遅れ」という状況が生まれます。
解決策は一つです。「何をいつやるか」を事前に決めておくこと。考えながら動くのではなく、「決めたことをこなすだけ」の状態にしておけば、どれだけ焦っていても体は自然に動きます。台風対策とは、知識よりも「行動の設計」なのです。
この記事の使い方:4フェーズで「考えなくても動ける」状態をつくる
この記事では、台風接近から通過後までを以下の4フェーズに分けて行動を整理しています。
フェーズ | タイミング | 状況のめやす |
|---|---|---|
フェーズ1 | 上陸の24時間前 | 進路がほぼ確定。天気はまだ穏やか |
フェーズ2 | 上陸の12時間前 | 空が曇り始め、風が出てくる頃 |
フェーズ3 | 上陸の3時間前〜直前 | 雨風が強まり、外出が危険になる頃 |
フェーズ4 | 台風通過後 | 風雨がおさまった後 |
「今まさに台風が来ている」という方へ:今いる状況に対応するフェーズの章を開いてください。今すぐできることだけを確認して、落ち着いて行動してください。
「次の台風に備えて読んでいる」という方へ:最初から順番に読んで、全体の流れを頭に入れておきましょう。末尾のチェックリストをブックマークまたはスクリーンショットしておくと、次の台風時にすぐ使えます。
【フェーズ1】台風上陸の24時間前にやること
「自分のエリアに来そうだ」と判断した段階で、すぐに動き始めましょう。このフェーズが最もゆとりがあり、最も大切な準備の時間帯です。天気はまだ穏やかで、店舗も普通に営業しています。しかし数時間後には品切れや混雑が起き始めます。「まだ大丈夫」と思ったときがタイムリミットだと考えてください。
✅ 24時間前のやることリスト
① 最新の台風情報を確認する
気象庁の台風情報や、NHKの天気予報で現在の進路・上陸予測時刻を確認します。自治体の防災アプリ(Yahoo!防災速報、特務機関NERVなど)をインストールしていない場合は、このタイミングで設定しておきましょう。
→ なぜ今?:進路は数時間で変わることがあります。最新情報をベースに行動を判断するためです。
② ハザードマップで自宅のリスクを確認する
国土交通省の「重ねるハザードマップ」(https://disaportal.gsi.go.jp/)で、自宅周辺の浸水想定区域・土砂災害危険区域を確認します。
→ なぜ今?:浸水リスクがある地域は、避難の判断がワンフェーズ早くなります。自宅の立地を知っておくことで、次のフェーズの行動が変わります。
③ 避難所と避難ルートを再確認する
自治体のウェブサイトや防災マップで、最寄りの避難所の場所と、そこまでの経路を確認します。できれば2ルート把握しておきましょう。
→ なぜ今?:いざというときに「避難所ってどこだっけ?」と調べる余裕はありません。
④ 備蓄品の数量をチェックし、不足分を補充する
以下を確認します。
飲料水(1人1日3リットル×3日分が目安)
食料(カップ麺・缶詰・レトルト食品など、最低3日分)
常備薬・処方薬(持病がある方は特に重要)
モバイルバッテリー(充電されているか確認)
懐中電灯・ランタン(電池の残量も確認)
簡易トイレ・ウェットティッシュ・マスク
不足しているものは、このタイミングで買い出しに行きましょう。
→ なぜ今?:12時間前になると店舗の棚から商品が消え始めます。
⑤ 家族・同居人と行動計画を共有する
「台風が来たら、誰がどこに避難するか」「連絡がとれなくなったときの集合場所はどこか」を家族で話し合っておきます。
→ なぜ今?:緊迫した状況で「どこに逃げる?」と話し合う余裕はありません。今のうちに決めておくことが、家族全員の安心につながります。
⑥ 庭・ベランダの飛散物を撤去または固定する
以下は強風で凶器になり得ます。
植木鉢(室内に入れるか、固定する)
物干し竿(物干し台に固定するか、室内へ)
自転車(柱や壁に固定する、または室内へ)
園芸用品・アウトドア用品・子どものおもちゃ
→ なぜ今?:12時間前は雨風が出てきて屋外作業が辛くなります。晴れているうちに終わらせましょう。
⑦ 窓ガラスに養生テープを貼る
ガラスが割れたとき、破片が飛び散らないように養生テープをX字や格子状に貼ります。完全に割れを防ぐことはできませんが、飛散を大幅に抑える効果があります。段ボールを内側から当てるとさらに有効です。
→ なぜ今?:養生テープは台風が近づくと売り切れになります。在庫があるうちに対応しましょう。
【フェーズ2】台風上陸の12時間前にやること
空が曇り始め、風も少し出てくる頃です。このフェーズが「屋外での準備」の最終リミット。以降は外出や屋外作業が難しくなっていくため、このタイミングで室内への切り替えを完成させます。
「まだ雨も大して降っていないし、もう少し後でいいか」——その感覚が最も危険です。12時間後には状況が激変します。
✅ 12時間前のやることリスト
① スマートフォン・モバイルバッテリーをフル充電にする
スマートフォンを100%にし、モバイルバッテリーも満充電にします。停電に備えて、ノートパソコン・タブレットも充電しておきましょう。
→ なぜ今?:停電は台風通過後も続く場合があります。情報収集の手段を確保することが命綱になります。
② 浴槽に水を貯める(断水対策)
浴槽をきれいにしてから水を満タンに貯めます。断水時のトイレ用水として使えます(飲料水には使いません)。
→ なぜ今?:断水は台風通過後に発生することがあります。「いざ蛇口をひねったら水が出ない」という状況は、事前に防げます。
③ 非常持ち出し袋を玄関に移動させる
普段は押し入れや棚にしまっている非常持ち出し袋を、玄関のすぐ手の届く場所に移動させます。非常持ち出し袋の基本中身:
通帳・保険証・身分証のコピー
現金(小銭を含む)
常備薬・お薬手帳
携帯充電器・ラジオ
着替え・雨具
非常食・飲料水(1〜2日分)
→ なぜ今?:いざ避難というとき、荷物を探す時間は1秒もありません。
④ 雨戸・シャッターを閉める
雨戸やシャッターがある窓は、すべて閉めます。ない場合は養生テープ+カーテンを閉めることで、ガラスが割れたときの飛散を軽減できます。
→ なぜ今?:雨が降り始めてから作業するのは滑りやすく危険です。
⑤ 排水溝・側溝のゴミ詰まりを確認・清掃する
家の周辺の排水溝が落ち葉やゴミで詰まっていると、大雨時に水が逆流してきます。ゴム手袋をして、詰まりがないか確認・清掃しておきましょう。
→ なぜ今?:雨の中でこの作業をするのは危険です。晴れているうちが最後のチャンスです。
⑥ 避難タイミングの最終確認をする
ハザードマップで浸水リスクが高いエリアに住んでいる場合は、「いつ避難を開始するか」を今一度確認します。自治体が発令する「避難指示」「高齢者等避難」などの警戒レベルを理解し、自分のエリアのレベルに応じた行動基準を決めておきましょう。
→ なぜ今?:「避難指示が出てから考える」では遅いことがあります。判断基準を今のうちに固めておきましょう。
【フェーズ3】台風上陸の3時間前〜直前にやること
雨風が本格的に強まり、外での行動はほぼ不可能になります。このフェーズでの原則は一つ:屋外に出ない。
このタイミングから準備を始めようとしている方——正直に言います。多くのことはもう間に合いません。でも、今すぐできる最低限のことだけは確認してください。
✅ 3時間前〜直前のやることリスト
① 最新の気象情報・避難情報をリアルタイムで確認する
気象庁の公式サイト、NHKのニュース、自治体の防災アプリで最新情報を確認します。特に自治体が発令する「避難指示」「緊急安全確保」などの情報を見逃さないようにします。
② 避難するかどうかの最終判断をする
以下のいずれかに当てはまる場合は、今すぐ避難を開始してください。
自治体から「避難指示」が発令されている
ハザードマップで浸水想定区域・土砂災害危険区域に住んでいる
自宅が古い木造建築で耐風性に不安がある
1階に住んでいて浸水リスクがある
「もう少し様子を見てから」は禁句です。強風・大雨になってからの移動は命に関わります。
③ 避難する場合:今すぐ出発する
非常持ち出し袋を持ち、できるだけ早く避難所へ向かいます。車での避難は冠水した道路に注意し、水の深さがわからない場所には絶対に入らないでください。
④ 自宅に留まる場合:安全な部屋に移動する
以下の部屋が比較的安全です。
窓のない廊下・クローゼット
バスルーム・トイレ
建物の中心部(窓から最も遠い場所)
窓のそばには絶対に近づかないでください。強風でガラスが割れる可能性があります。
⑤ 家族への安否連絡をしておく
離れて暮らす家族や友人に、自分の今の状況と居場所を伝えておきます。「今は〇〇にいる、連絡がとれなくなっても大丈夫」という一言が、お互いの安心につながります。
【フェーズ4】台風通過後・上陸後にやること
風雨がおさまった。ようやく一息——でも、まだ「安全」ではありません。台風通過直後は、後続の強風・増水した河川・倒木・電線の切断など、目に見えない危険が至る所に潜んでいます。「台風が過ぎたから外に出た」ことで二次被害に遭うケースは毎年報告されています。
✅ 台風通過後のやることリスト
① 台風の完全通過を確認してから外に出る
気象庁の情報やNHKで「台風が通過した」ことを確認してから行動を開始します。風雨が一時的におさまる「台風の目」の中にいる可能性もあるため、情報確認なしに外出するのは危険です。
② 自宅周辺の安全を確認する
外に出る際は以下を確認しながら慎重に行動します。
倒木・倒れた看板・塀の崩壊がないか
電線が切断・垂れ下がっていないか(絶対に近づかない)
道路の冠水・マンホールの水圧による噴出がないか
河川や用水路の水位(増水しているときは近づかない)
③ ライフライン(電気・ガス・水道)を確認する
電気:停電していないか確認。ブレーカーが落ちている場合は順番に復旧させる
ガス:臭いがないか確認。強い揺れや浸水があった場合は専門業者に点検を依頼
水道:水が出るか確認。濁っている場合は飲まずに自治体の情報を待つ
④ 被害状況を写真で記録する
家屋・車・家財などに被害があった場合は、修理や片付けをする前に必ず写真を撮っておきましょう。火災保険・自動車保険・各種補償の申請に使用します。撮影時は日時データが残るようにスマートフォンのカメラを使うと便利です。
⑤ 備蓄品の使用分を確認し、補充メモをつくる
今回の台風で使った備蓄品(水・食料・電池など)を確認し、「次の台風前に補充するもの」のリストを作ります。このメモをすぐに作っておくことが、ローリングストックの習慣化につながります。台風が去った今が、「次の台風」への準備の始まりです。
全フェーズまとめ:印刷・保存できる時系列チェックリスト
ここまでの内容を一覧にまとめました。このページをスクリーンショットしてスマートフォンに保存するか、印刷して目につく場所に貼っておきましょう。次の台風が来たとき、このリストだけ見れば動けます。
🟡 フェーズ1:上陸24時間前
最新の台風情報・進路を確認する(気象庁・NHK・防災アプリ)
ハザードマップで自宅のリスクを確認する
避難所の場所と避難ルートを再確認する
備蓄品(水・食料・薬・モバイルバッテリー等)を確認・補充する
家族と行動計画を共有する(誰がどこへ・連絡方法)
庭・ベランダの飛散物を撤去または固定する
窓ガラスに養生テープを貼る
🟠 フェーズ2:上陸12時間前
スマートフォン・モバイルバッテリーを100%充電する
浴槽に水を満タンに貯める
非常持ち出し袋を玄関に移動させる
雨戸・シャッターをすべて閉める
排水溝・側溝のゴミ詰まりを確認・清掃する
避難タイミングの基準を最終確認する
🔴 フェーズ3:上陸3時間前〜直前
最新の気象情報・避難情報をリアルタイム確認する
避難するかどうかの最終判断をする
避難する場合:今すぐ出発する(強風になる前に移動完了)
自宅留まりの場合:窓から離れた安全な部屋へ移動する
家族への安否連絡をしておく
🟢 フェーズ4:台風通過後
気象情報で台風の完全通過を確認してから外に出る
自宅周辺の安全確認(倒木・電線・冠水など)
ライフライン(電気・ガス・水道)の状態を確認する
被害状況を写真で記録する(保険申請用)
使った備蓄品を確認し、補充メモを作る
「毎回同じことを考える手間」をゼロにする:ルーティン化のすすめ
ここまで読んで、「この流れを毎回ちゃんとできるかな」と思った方もいるかもしれません。正直なところ、チェックリストは「ただ読んだだけ」では機能しません。次の台風が来たとき、「あの記事、どこかにあったな…」となってしまったら元も子もない。
大切なのは、このリストを「習慣」として体に染み込ませることです。毎年台風シーズンが来るたびに「何からやるんだっけ?」と考え直すのは、時間と精神力のムダです。一度行動の流れを設計してしまえば、次からは「自動的に動き始める」状態にできます。これがルーティン化の本質です。
たとえば、Routinery(ルーティナリー)のようなルーティン管理アプリに「台風接近時の行動リスト」を登録しておけば、台風シーズンに通知が届いた瞬間から、アプリがフェーズごとの行動を順番に案内してくれます。「次は何をやるんだっけ?」と考える必要がなく、画面の指示通りに動くだけで準備が完了します。緊迫した状況でも冷静に行動できるのは、こうした仕組みがあるからです。
まずは今回のリストをブックマーク・スクリーンショットして、「次の台風が来たら24時間前にこれを開く」と決めておくこと。それだけで、あなたの台風対策は大きく変わります。
まとめ
この記事では、台風接近から通過後までのやるべきことを4つのフェーズに分けて整理しました。
24時間前:情報収集・備蓄確認・屋外の片付け・家族との計画共有
12時間前:充電・浴槽貯水・非常袋の準備・雨戸閉鎖・排水溝清掃
3時間前〜直前:避難の最終判断・安全な場所への移動・家族への連絡
通過後:安全確認・ライフライン確認・被害記録・備蓄の補充メモ
台風対策は「考えながらやる」から間に合わなくなります。「やることを決めておく」だけで、慌てずに動けます。このチェックリストを保存しておいて、次の台風が来たときに「24時間前にこれを見て動く」と決めておきましょう。その一歩が、家族の安全を守る最大の準備になります。
よくある質問(FAQ)
台風の準備はいつから始めればいいですか?
台風の進路がほぼ確定し、「自分のエリアに来る」と判断した時点で、上陸の24時間前から行動を始めましょう。このタイミングが最もゆとりがあり、店舗での調達や屋外作業もスムーズにできます。12時間前以降は品切れや強風が起き始めるため、24時間前が実質的な準備のタイムリミットと考えてください。
養生テープはどこに、どう貼ればいいですか?
窓ガラスにX字や格子状に貼ります。目的はガラスの飛散を抑えることで、割れ自体を完全に防ぐことはできません。テープの上から段ボールを内側に当てると、さらに効果が高まります。養生テープは台風接近時に売り切れになりやすいため、シーズン前にストックしておくことをおすすめします。
浴槽に水を貯めるのはなぜですか?飲めますか?
断水対策として、主にトイレの流し水として使うために貯めます。飲料水としての使用は衛生面の問題があるため、飲料水は別途ペットボトルなどで確保してください。浴槽の水は台風通過後もすぐには捨てず、ライフラインが回復するまでキープしておきましょう。
「避難指示」と「高齢者等避難」の違いは何ですか?どの段階で避難すべきですか?
日本の避難情報は警戒レベル1〜5で分類されています。「高齢者等避難」はレベル3で、高齢者・障がい者・乳幼児などの避難に時間がかかる方はこの段階での避難が求められます。「避難指示」はレベル4で、危険な場所にいるすべての方が対象です。ハザードマップで浸水・土砂災害リスクが高いエリアに住んでいる場合は、レベル3の段階で避難を開始することをおすすめします。
台風通過後、電線が垂れ下がっていたらどうすればいいですか?
絶対に近づかないでください。切断された電線は感電の危険があります。すぐに東京電力・関西電力などの電力会社の緊急連絡先に連絡し、通報してください。また、近隣住民や通行人が近づかないよう声をかけることも大切です。自分で触れたり、移動させようとしたりしないでください。
台風の被害を写真で記録しておくのはなぜですか?
火災保険や自動車保険などを申請する際、被害状況の証拠として写真が必要になるからです。修理や片付けをする前に、できるだけ多くの角度から撮影しておきましょう。スマートフォンで撮影すると日時データが自動的に記録されるため、申請時に有利になります。写真はクラウドストレージに保存しておくとさらに安心です。
台風の目の中にいるときに外に出てしまった場合はどうすればいいですか?
台風の目の中は一時的に風雨がおさまりますが、目が通過すると再び激しい風雨が戻ってきます。外に出てしまった場合は、すぐに安全な建物の中に戻ってください。気象庁の台風情報やNHKで現在地に台風の目があるかどうかを確認し、目が通過し切るまでは外出しないのが原則です。